過日実施した誌名意向調査には多数の方々のご協力を賜り、誠にありがとうございました。
さて、『ライブラリー・リソース・ガイド』の創刊号用に「創刊の辞」を書きましたので、ここに載せておきます。なお、校正前につき、あくまで草稿とお考えください。
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私が「図書館」というものに関わりだして、まもなく10年を迎えます。
思えば、2003年12月に『現代の図書館』(日本図書館協会)に寄稿させてもらい、その1年後の2004年12月に国立国会図書館 東京本館で講演させてもらったのが、「図書館」と私の本格的な関係の始まりでした。以来、約10年が経ちました。
この間、「図書館」を巡ってはさまざまな出来事がありました。その出来事の中には、「図書館」に大きな打撃を加えるものもあれば、「図書館」に力強い応援を送るものもありました。
その10年 の歴史の中で、ひときわ痛感するのは、順風も逆風もあるが、それでも時代は「図書館」とともにあったということです。
これまでの10年の間、確かに「図書館」には厳しい風が吹きました。そして、その風はいまも吹いています。しかし、同時に「図書館」のイメージと実態は、かつてないほどに深まり広がりました。
それまでの常識ではとらえきれない「図書館」が、各地に生まれています。そして、そのような野心的な「図書館」の担い手となろうとする動きは、公共・民間を問わず、広がっています。
こう思えるのは、私は「図書館」を情報と知識がさまざまな形で集約される場、交換される場、そして再生産される場ととらえているからです。
「巨人の肩に乗る」という言葉があるように、過去から受け継いだ情報や知識を現在に生かし、そして未来へと引き渡していける限り、「図書館」という営みが消え去ることはありません。
ひとつ根拠を示しましょう。
それこそ、「図書館」で歴史をひもとけばわかることですが、現在私たちの社会を席巻しているウェブも、考えてみれば、「図書館」の系譜のひとつです。また、そのウェブの歴史の幕を開けたディレクトリーサービスも、現在隆盛を誇る検索エンジンも、その発想を「図書館」に負っています。
情報化の時代になればなるほど、「図書館」が築いてきた情報と知識が活用されるのは、むしろ当たり前のことでしょう。まだ、いや、むしろいま、「図書館」の可能性は示されているのです。
この可能性への期待を確信に変えるために、ここに新たな雑誌を創刊します。これまで繰り返し「図書館」という言葉で表現してきたものを、さらに前に進めるべく、『ライブラリー・リソース・ガイド』という名を与えて……。
岡本真