『ライブラリー・リソース・ガイド』(LRG)第40号(特集「図書館とジェンダー」)のデータを公開

アカデミック・リソース・ガイド株式会社(arg)は、『ライブラリー・リソース・ガイド』(LRG)第40号(特集「図書館とジェンダー」)のデータを公開しました。

『ライブラリー・リソース・ガイド』(LRG)第40号(特集「図書館とジェンダー」)のデータを公開

公開するのは、第40号の特集「図書館とジェンダー」で多くの方にご協力いただいた「図書館とジェンダーに関するアンケート結果まとめ」です。あわせて、分析にご協力いただいた猪谷誠一さんによる資料「『図書館とジェンダーに関するアンケート』結果まとめ」と、Google Formsのデータを分析しやすい形式に変換するためのツールの使用方法を記載した「FormsPreprocessors の紹介」も公開します。

これらのデータが適切に活用され、第40号で掘り下げたテーマへの理解や検討が進むことを期待しています。今回はあくまで分析結果の公開ですが、アンケートのローデータ活用についても、丁寧に検討していきます。『ライブラリー・リソース・ガイド 』 (LRG)編集部と共同研究に取り組む場合、ローデータの活用が可能であると考えています。研究者の方で活用をお考えの方は、一度編集部までご相談ください。
なお、同特集の責任編集を務めた猪谷千香さん(文筆家)にコメントをいただきましたので、あわせてお読みください。

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このアンケート調査は、図書館の現場で働く人たちがジェンダーを取り巻く諸問題とどのように向き合っているか知りたいと思い、行いました。

これまで、性差別や特定のジェンダーに対する偏見は、社会で見過ごされてきました。当事者や当事者に共感する人たちが声をあげると、必ず酷いバックラッシュ(反動)が起こり、分断と無関心を生みました。声をあげれば叩かれるという経験は、私たちをこの問題から遠ざけてきた気がします。

図書館も無縁ではありません。今回の特集のため、女性資料を収集してきたある図書館を取材しようとしたところ、「うちの図書館はジェンダーとは関係ありません」と断られたことがありました。「ジェンダーという言葉を使うと、色眼鏡で見られてしまう」と打ち明けてくれた図書館の方もいました。

しかし、ジェンダーの問題は私たち全員に関係することであり、社会の知のインフラたる図書館がジェンダーについての正しい知識や情報、問題を提供することは、図書館の役割でもあると思っています。調査結果を共有することで、図書館界におけるジェンダーの問題をどうとらえているか、あらためて考えていただければ幸いです。

調査結果では、図書館の現場にも偏ったジェンダーバランスと、ジェンダーギャップがあることが浮き彫りになっています。特に自由回答で印象に残っているのは、どうしたらジェンダーギャップを解消できるかという問いに、「残念ながらなくならないと思う」「無理だと思う」という声が特に中高年の方の間で少なくなかったことです。

図書館で何十年も働いてきた方々の言葉として、重く受け止めたいと思います。それだけに、これから図書館で働こうとしている若い世代のためにも、やはり変えていこうという理想は、高く掲げ続けなければならないと痛感しました。

もしこの調査報告にご興味いただけましたら、ぜひそれぞれの現場で活用していただければと思っています。

猪谷千香(文筆家、LRG第40号責任編集)
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<関連リンク>
・『ライブラリー・リソース・ガイド 』 (LRG)第40号「図書館とジェンダー」
https://www.fujisan.co.jp/product/1281695255/b/2291770/
・「図書館とジェンダーに関するアンケート」結果まとめ
https://www.dropbox.com/s/slg34o17x8ai0ih/LRG40_GenderSurvey_OD.pdf?dl=0
・FormsPreprocessors の紹介
https://www.dropbox.com/s/khywahq84plt8cz/LRG40_GenderSurvey_FormsPreprocessors_OD.pdf?dl=0

<関連記事>
・「『ライブラリー・リソース・ガイド』(LRG)第40号(特集「図書館とジェンダー」)を刊行」
https://arg-corp.jp/2022/08/15/lrg-28/